対象地域ネパール南部 ルンビニ
期間2010年7月〜2013年7月
構成メンバー【東大チーム】
西村教授・黒瀬助教/パンノイ・ナッタポン(タイ・D3)/傅 舒蘭(中国・D3)/アブドゥラ・アヘラム・モハメド・サレー(バーレーン・D1)/李 峰浩(中国・M2)
東大チームに加えて、下記の考古学および遺跡保全の専門家が国際専門家チームとして参加、協力してプロジェクトを進めています。
また、ネパール政府考古学局、ルンビニ開発公社などの現地の専門家もプロジェクに参加しています。
【国際専門家チーム】
Herb Stovel准教授(カナダ・Carleton University)
Constantino Meucci博士(イタリア)
Robin Coningham教授(イギリス・Durham University)

プロジェクトの内容

仏教の開祖であるブッダの生誕地として知られるルンビニは、古代から仏教の聖地として多くの巡礼者を集めていたが、近代に入り荒廃していました。1967年のウ・タント国連事務総長(当時)訪問をきっかけに、再整備の機運が高まり、都市工学科の創設者のひとりである丹下健三氏によるマスタープランのもと、1970 年代後半から整備が進められてきました。1997年に世界遺産として登録され、近年は急速に巡礼者・観光客が増加しています。

本プロジェクトは、丹下氏によるマスタープランの考え方にもとづきながら、整備の遅れ、観光客の増加、新たな遺跡の発見と保全など、近年発生している問題を解決し、世界遺産としてのルンビニの価値を適切に保全・強化することを目的としています。UNESCOからの委託を受け、地域の専門家と東大チームを含む海外の専門家が力をあわせて、各々の専門分野の知恵を出し合い、包括的なマスタープランを3年で完成させる予定です。

海外でのプロジェクトを進める上で大変なこと

ルンビニ周辺は、現在でも一日11 時間程度しか、通電しておらず、毎日計画的に停電。(もしくは発電機の爆音のなか、就寝!)電気のありがたさを改めて感じることに。ただし、そのおかげで星は大変きれい!初めて見る、はっきりとした天の川に感動しました。

また、毎日食事はカレー風なのですが、さすがに種類がたくさん。ネパールのカレーはそれほど辛くないので、美味しくいただけました。

英語でのやりとりは、時に単純なことが伝わらなかったりもしますが、そういう時こそ図で説明。意思を伝えるための工夫が重要だと思います。

プロジェクトの成果として期待されること

世界的にみても珍しい、仏教遺跡群と丹下健三氏による近代的な都市デザインの組み合わせ、非常に難しいバランスを取りながら、現地の気候や状況に応じた都市のあり方を提示することが求められています。

一方で、遺跡保全と観光の両立、遺跡周辺の風景の保全など世界共通とも言える課題も多く抱えており、多くの仏教遺跡が残るアジア全体にも展開できる遺跡保全のあり方を提案することを目指しています。考古学をはじめとする他分野の専門家との協力と、巡礼者の動きをはじめとした実態の徹底的な把握が、その鍵となるのではないかと考えています。

仏教遺跡(ブッダ生誕地の記述が残るアショーカ王の石柱)周辺の巡礼行動を調査