研究の概要

東南アジアにおける中堅都市の都市環境を研究していました。 中堅都市にも水質汚濁や廃棄物問題といった都市環境問題は存在しますが、大都市ほど対策は行き届いていません。むしろ、十分なデータや調査も進んでいないというのが現状です。しかし、数ある中堅都市に対し、大都市と同じレベルの調査・研究を行うのは、限られた人的・経済的リソースの中では不可能であり、どうやって中堅都市の問題に対処していくかということがテーマでした。

海外調査に行った場所と時期を教えて下さい

インドネシアのスマトラ島の中心都市、メダンです。人口は200万人程度で、インドネシアの代表的な地方都市です。時期は2006年11月と2007年1月です。インドネシアが経済的に注目される少し前の時期でした。

海外調査をする目的

メダンの都市環境問題の現状把握です。水道がどれくらい普及しているのか?水源は?生活用水は何を使っているのか?排水は処理は?廃棄物の処理は?など、分からないことだらけであり、データを収集し、実態を自分の目で確かめ、現状はどうなっているのか、何が問題なのかを都市環境工学の視点から捉えることでした。

海外でどのような調査をして、どのような成果が得られたか

データ収集の点では、行政機関の担当者にインタビューしたり、浄水場・下水処理場などの見学をさせてもらったりしました。他にも、生活に使われている井戸水の水質を調査するために、一般家庭にお邪魔したりしました。訪ねた家庭で、“危険かもしれない”水を出されたときは、どうしたものか迷いましたね(笑)。

限られた調査期間でしたが、各方面に調査に協力してくださる方がいたおかげで、それなりのデータが集まり、メダン市における水収支マップというものを作成することができました。これは、メダン市の降水量、地下水の使用量、生活用水の量などを水の収支としてまとめたものであり、都市の水環境問題を考える上で重要な基礎データとなります。

海外調査を経験して得られたこと

インドネシアでの経験は、日本で培った価値観と大きく異なり、まさに衝撃的でした。しかし、先進国とは異なる世界を見て、その中で苦労して色々な調査を実施したことにより、自分の世界観が広がったと思います。途上国の環境問題も研究対象として、多様な世界を覗けることは、都市環境を研究するに当っての魅力の一つかと思います。