対象場所 | タイ王国 |
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期間 | 2008年10月~2013年3月(JST),2009年5月~2013年3月(JICA) |
構成メンバー | 日本側研究機関 東京大学(山本和夫教授,古米弘明教授,渡辺知保教授[医学系研究科],古澤 華助教[医学系研究科],本多 了特任助教,Chaminda特任研究員),東北大学(大村達夫教授,真砂佳史助教),立命館大学(中島 淳教授),早稲田大学(榊原 豊教授),山形大学(渡部 徹准教授) タイ側研究機関 自然資源環境省 環境研究研修センター(ERTC),チュラロンコン大学,カセサート大学 |
プロジェクトの内容
熱帯地域は水資源が豊富と考えられがちですが、季節的・地理的に不均衡な降雨分布と経済発展に伴う需要の増大により、熱帯地域においても水再利用への社会的需要は高まっています。本研究プロジェクトでは、日本での国内研究とタイ王国の研究機関との現地での研究開発を2本の軸として、熱帯地域の事情に合わせて最適化された水再利用技術の研究開発を目指しています。同時に、ODAプロジェクトとして、熱帯地域水再利用技術開発センターを立ち上げて熱帯諸国への水再利用技術の普及促進を図るとともに、相手国研究機関の研究開発能力向上を目指した技術研修や研究環境整備も行っています。
研究開発は、直接再利用のための水再生利用プロセスとしての膜分離活性汚泥(MBR)法を基礎としたプロセス開発、間接水再利用のための地域循環型水再利用システムと水質情報プラットフォームの開発、および水再利用における健康影響評価に関する研究開発を中心に行っています。
海外でのプロジェクトを進める上で大変なこと
本プロジェクトの特徴の一つは、海外共同研究をODAプロジェクトとして行っている点で、研究成果ととともにカウンターパートの研究開発能力向上も同時に期待されています。そのため、研究に必要な分析技術等の技術研修や共同研究遂行において研究指導的な役割も一部担っています。カウンターパートは非常に積極的であり、日タイ双方が期待するもののマッチングのためには、コミュニケーションは非常に大切であると感じています。
プロジェクトの成果として期待されること
現在、廃棄物処分場浸出水処理を目的とした地球温暖化ガス排出抑制型MBRプロセスのパイロットプラントをタイ王国レムチャバン廃棄物処分場に、食品廃棄物処理との組み合わせによる省エネルギー型MBRプロセスのパイロットプラントをチュラロンコン大学キャンパス内に設置しています。それ以外にも、光合成微生物による資源生産型MBRプロセスや、チャオプラヤ川を対象とした重金属と残留医薬品の水質指標、薬剤耐性菌を含む病原微生物による健康影響などの研究を行っています。これらの研究成果が、本プロジェクトで設置される熱帯地域水再利用技術開発センターを通じて発信され、プロジェクト終了後も継続的に東南アジアをはじめとする熱帯諸国の持続的な水資源利用に貢献できると期待しています。
文責:本多 了